ヨルシカ【さよならモルテン】歌詞の意味を考察!「飛べないこと」を愛おしいと思えるまでの物語

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ヨルシカの「さよならモルテン」は、2023年4月5日に発売された音楽画集『幻燈』に収録された楽曲です。

『幻燈』は、絵と音楽を組み合わせて一つの物語やテーマを描く作品で、「さよならモルテン」はその中でも、スウェーデンの児童文学『ニルスのふしぎな旅』を思わせる世界観が印象的な一曲となっています。

曲の中では、主人公が一冊の本を手に、かつて大切な時間を過ごした場所へ向かいます。

そして「読み終わりまであと2ページ」という言葉を繰り返しながら、過去の思い出を振り返っていくのです。

「さよならモルテン」というタイトルには、単に物語の中のガチョウとの別れだけではなく、子どもの頃に抱いていた「自分たちは特別なのだ」という感覚との別れが込められているのではないでしょうか。

この記事では、歌詞に描かれた物語を追いながら、「さよならモルテン」に込められた意味を考察していきます。

目次

「さよならモルテン」はどんな曲?物語の中心にあるもの

この曲を読み解くうえで重要なのが、「」「モルテン」「飛ぶ」という3つのモチーフです。

主人公が手にしている本と、そこに登場するモルテン。

そして、かつて主人公と「君」が何度も挑戦した「飛ぶ」という行為。

この3つが重なることで、過去と現在をつなぐ物語が生まれています。

『ニルスのふしぎな旅』がモチーフになっている

歌詞には、鳥に乗って旅をする少年と、その相棒であるガチョウのモルテンが登場します。

これは『ニルスのふしぎな旅』を直接的に思わせる設定です。

原作では、いたずら好きだった少年ニルスが小人にされ、ガチョウのモルテンたちとともにスウェーデンを旅します。

その旅を通してニルスは成長し、最後には元の人間の姿へ戻っていきます。

ここで重要なのは、ニルスにとって「旅」が単なる冒険ではないことです。

旅をすることで、少年はさまざまな経験をし、少しずつ大人へと成長していきます。

つまり、『ニルスのふしぎな旅』には、子どもから大人へ変わっていく物語という側面があります。

「さよならモルテン」では、この「成長」というテーマが、恋愛や青春の記憶と重ねられているように感じられます。

「本を読むこと」が過去へ戻る行為になっている

主人公は借りた本を手に、川沿いの道を歩きます。

その本は、単なる小説ではありません。

本を読むことで、主人公はかつて「君」と過ごした時間へ戻っていきます。

特に印象的なのが、「読み終わりまであと2ページ」という表現です。

本を読み終えれば、物語は終わってしまいます。

だからこそ主人公は、その先を知りたくない。

これは同時に、自分と「君」の物語の結末も知りたくないという気持ちを表しているのではないでしょうか。

「本を読み終えること」と「過去の恋を終わらせること」が重なっているのです。

「飛ぶ」ことに込められた意味とは?

「さよならモルテン」で何度も描かれるのが、主人公たちが「飛ぼう」とする姿です。

しかし、当然ながら人間は腕を広げて跳ねたからといって空を飛べるわけではありません。

それでも、二人は飛ぼうとします。

この「飛ぶ」という行為には、曲の重要なテーマが隠されています。

「いつも僕らは飛ぼうとしていた」の意味

子どもの頃、二人は腕を広げ、高く跳ねる。

もちろん何も起こりません。

それでも二人は飛ぼうとします。

これは、現実にはできないことを信じていた「子どもの心」の象徴と考えられます。

子どもの頃には、自分だけは何か特別な存在なのではないかと思うことがあります。

大人から見れば不可能なことでも、子どもにとっては「もしかしたらできるかもしれない」。

二人にとって「飛ぶ」という行為は、まさにそんな夢だったのでしょう。

そして、その夢を一人ではなく「僕ら」で共有していたことが重要です。

飛べるかどうかよりも、一緒に飛ぼうとしていた時間そのものが二人にとって特別だったのです。

「特別じゃない」と知りたくなかった二人

曲の中盤では、「特別ではない自分」を知りたくないという感情が、よりはっきりと描かれます。

これは「さよならモルテン」という曲を理解するうえで、非常に重要な部分です。

子どもの頃は、自分たちには何か特別な力があると思っていた。

いつか飛べるかもしれない。

何か大きなことを成し遂げるかもしれない。

二人なら、どこへでも行けるかもしれない。

しかし、大人になるにつれて、少しずつ現実を知っていきます。

自分は空を飛べない。

自分は特別な存在ではない。

そして、いつまでも二人で同じ場所にいることもできない。

その現実を知ることこそが、「大人になる」ということなのかもしれません。

「大人になること」が別れにつながっている

「さよならモルテン」では、二人の成長がそのまま二人の距離を広げるものとして描かれています。

背が伸びること、時間が経つこと、いつしか遠くなること。

これらはすべて、成長と別れが表裏一体であることを示しているように感じられます。

背が伸びるほど、二人は離れていく

子どもの頃は、同じ場所で遊んでいた二人。

しかし時間が経てば、それぞれの人生を歩み始めます。

学校、仕事、恋愛、環境。

成長するにつれて、人は自分だけの道を進むようになります。

その結果、かつてはすぐ隣にいた相手が、いつの間にか遠い存在になってしまう。

ここで描かれているのは、恋愛の別れだけではありません。

「子どもの頃の自分」との別れでもあるのだと思います。

かつての二人は、同じ夢を見ていました。

しかし大人になった現在の二人は、もう同じ夢を見ているとは限らない。

だからこそ、別れは避けられないものとして描かれているのでしょう。

「夏」は二人の青春そのもの

この曲では、何度も「夏」が登場します。

夏という季節には、青春や少年時代の記憶を連想させる力があります。

特に、土の匂いや川沿いの道、丘を駆ける姿など、歌詞に登場する風景はとても具体的です。

これは単なる背景描写ではありません。

匂いや風景によって、過去の記憶が鮮明によみがえってくるのです。

だから現在の主人公は、懐かしい道を歩くだけで、かつての「君」の笑顔を思い出してしまう。

そして、その記憶が胸を締め付ける。

「夏が来ていた」という言葉には、あの頃の時間が確かに存在していたという確認のような意味も込められているのではないでしょうか。

「さよならモルテン」が意味するもの

タイトルにもなっている「さよならモルテン」。

この言葉は曲の中で何度も繰り返されます。

しかし、その意味は曲の進行とともに少しずつ変化しているように思えます。

1番では「子どもの頃の夢」への別れ

最初の「さよならモルテン」は、かつての二人への別れです。

二人は飛ぼうとしていた。

何度失敗しても笑っていた。

その頃の二人にとって、世界は今よりもずっと広く、可能性に満ちていました。

しかし、その時間はもう戻ってきません。

だから「さよなら」は、モルテンへの別れであると同時に、無邪気だった自分自身への別れでもあるのだと思います。

2番では「特別でありたい自分」への別れ

物語が進むにつれて、二人は大人になっていきます。

そして、自分たちが特別ではないことを知ってしまう。

それでも飛ぼうとする。

この姿には、大人になりたくないという気持ちが表れているように感じます。

「普通になること」が怖かった。

特別ではないと認めてしまえば、子どもの頃に信じていた夢まで否定してしまうように思えた。

だから、二人は飛び続けたのでしょう。

3番では「飛べないこと」そのものを受け入れる

しかし、終盤になると意味が大きく変わります。

かつての「君」と再会した主人公は、相手が今でも飛ぼうとしている姿を見ます。

ここが、この曲の大きな転換点です。

かつては「飛べない=失敗」だった。

けれど、大人になった主人公は、少しずつ違う見方ができるようになっています。

飛べないことも、二人にとって愛おしいものだったのではないか。

そう気づき始めるのです。

これは、「特別になれなかった」という敗北ではありません。

むしろ、普通の人生を歩んできたからこそ見つけられた幸福なのではないでしょうか。

再会した「君」は何を意味している?

終盤では、主人公が懐かしい道を歩き、丘へ向かいます。

そして、そこには「誰か」がいる。

ここから、物語は過去の回想から現在へ戻ってきます。

再会によって過去が「現在」になる

主人公は、過去の記憶を抱えたまま「君」と再会します。

しかし、再会した「君」は、昔と完全に同じではありません。

それでも、目の輝きや笑顔には、あの頃の面影が残っている。

ここに、この曲の優しさがあります。

人は大人になることで変わってしまいます。

でも、すべてが消えてしまうわけではありません。

子どもの頃に誰かと笑った記憶。

夢中になって走った道。

一緒に何かを信じた時間。

そうしたものは、大人になった後も自分の中に残り続けます。

つまり、この再会は「昔に戻る」ためのものではなく、過去を大切な思い出として受け入れるための再会なのではないでしょうか。

「飛べないことが愛おしい」という境地

この曲でもっとも胸に響くのは、終盤で「飛べないこと」への見方が変わるところです。

子どもの頃は、飛べることが特別だと思っていた。

でも、大人になった二人が見つけたのは、飛べない自分たちの愛おしさです。

普通であることは、決してつまらないことではない

大人になると、自分が特別な人間ではないことに気づく瞬間があります。

夢見ていた未来とは違う人生になった。

思っていたほど成功していない。

昔の友達とは疎遠になった。

そんな現実を「失敗」と感じてしまうこともあります。

しかし、「さよならモルテン」は、そこに別の価値を見出しています。

空を飛べなくてもいい。

特別でなくてもいい。

普通に笑って、普通に誰かを好きになって、普通に大人になっていく。

そんな人生にも、確かに愛おしい瞬間がある。

この考え方が、曲の終盤に込められているように感じます。

最後の「あと1ページ」が意味するもの

曲の冒頭では「あと2ページ」だった本が、最後には「あと1ページ」になります。

この変化は非常に象徴的です。

主人公は最初、物語を終わらせたくありませんでした。

その先を知りたくない。

それは、自分たちの過去にも終止符を打ちたくないという気持ちだったのでしょう。

しかし、最後には残り1ページまで進み、ついに最後のページをめくります。

「さよなら」は未来へ進むための言葉

最後に「さよなら、モルテン」と告げることで、主人公はようやく過去を手放します。

ただし、それは忘れるという意味ではありません。

むしろ、大切な思い出として胸に残したまま、前へ進むための別れです。

モルテンは、二人が「飛べる」と信じていた頃の象徴でした。

だからモルテンへの別れは、子どもの頃の夢との別れでもあります。

でも、その夢を否定する必要はありません。

飛べなかったからこそ、二人は笑えた。

飛べなかったからこそ、一緒に走った時間が残った

飛べなかったからこそ、大人になった今、その時間を愛おしいと思える

そんな人生の受け入れ方が、この最後の「さよなら」に込められているのではないでしょうか。

ヨルシカ「さよならモルテン」が伝えるメッセージ

ここまで歌詞を読み解くと、「さよならモルテン」は単なる失恋ソングではないことが分かります。

もちろん、かつて大切だった「君」との別れは、この曲の重要な要素です。

しかし、それ以上に描かれているのは、子どもから大人になる過程で、自分の「特別さ」を手放していく物語なのだと思います。

「飛べるはず」と信じていた少年少女は、やがて飛べないことを知ります。

でも、飛べないと知ったからこそ、昔の自分たちがどれほど無邪気で、どれほど幸せだったのかにも気づける。

そして、かつての「君」と再会したとき、過去の時間は失われたものではなく、自分の中に残り続ける大切な記憶だったと分かる。

だから、この曲の「さよなら」は悲しいだけの言葉ではありません。

それは、「あの頃は本当に楽しかった」と過去を肯定し、「これからも自分の人生を歩いていこう」と未来へ進むための言葉なのではないでしょうか。

ヨルシカらしい文学的な世界観の中に、「大人になるのは少し寂しい。でも、普通の人生にも確かな美しさがある」という優しいメッセージが込められた一曲です。

『ニルスのふしぎな旅』に登場するモルテンを入り口にしながら、最終的には私たち自身の「子どもの頃」を振り返らせてくれる。

そんなところに、「さよならモルテン」の切なさと美しさがあるのだと思います。

まとめ:「さよならモルテン」の歌詞を読んで感じること

「さよならモルテン」を聴いていると、誰にでも一度はある「昔は何でもできると思っていた時期」を思い出させられます。

あの頃は、友達とくだらないことで笑ったり、意味もなく走ったり、できもしないことに挑戦したりしていた。

大人になった今振り返れば、何でもない時間だったのかもしれません。

それでも、その「何でもない時間」が、実は人生の中でかけがえのないものだったりします。

「飛べなかった」という事実は、決して失敗ではない。

飛ぼうとしていた二人が確かに笑っていたこと。

そして、その笑顔が今も記憶の中で色あせていないこと。

それこそが、この曲が最後に残してくれる大切な答えなのではないでしょうか。

「特別じゃなくてもいい」と思えるようになったとき、人は初めて、過去の自分を心から愛せるようになるのかもしれません。

「さよならモルテン」は、そんな青春への別れと、大人になった自分から過去の自分への優しい手紙のような楽曲だと感じます。

歌詞の出典元

「さよならモルテン」の歌詞は、ヨルシカ公式サイトで確認できます。作詞・作曲はn-bunaです。

ヨルシカ OFFICIAL SITE「さよならモルテン」歌詞

また、歌詞の確認には歌詞検索サイト「歌ネット」も利用できます。発売日は2023年4月5日と掲載されています。

歌ネット「ヨルシカ さよならモルテン 歌詞」

※本記事では歌詞全文の転載は行わず、楽曲の内容をもとに意味や物語を考察しています。

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