クリープハイプの「23、24」は、TBS系「news23」のエンディングテーマとして尾崎世界観が書き下ろした楽曲です。
タイトルの「23、24」は、ニュース番組が放送される23時から24時という時間を表しています。
一日の終わりにニュースを見ながら、「何が正しいのか」「誰が悪いのか」と考える。でも、簡単に答えを出すことはできない。
それどころか、他人を批判している自分自身の中にも、同じような矛盾や感情があることに気づいてしまう。
そんな「わからなさ」や「苦しさ」を抱えながら、それでも明日へ進もうとする姿が描かれているように感じます。
尾崎世界観は「news23」の公式コメントで、23時から24時までの1時間について、世の中を斜めに見ていた気持ちが、ニュースに触れているうちに少しずつ真っ直ぐになり、そのまま明日へ進んでいけるような時間として捉えています。
今回は、そんな「23、24」の歌詞に込められた意味を、時間の流れにも注目しながら考察していきます。
「23、24」はどんな歌なのか?
「23、24」を理解するうえで重要なのは、最初から最後まで「答え」が提示されないことです。
むしろ、この曲が描いているのは、答えが見つからない状態そのものです。
23時は「一日を振り返る時間」
23時という時間は、一日の終わりが近づき、今日あったことを振り返る時間です。
楽しかったことだけではなく、嫌だったこと、誰かに言われた言葉、ニュースで知った出来事など、さまざまなものが頭の中に残っています。
しかも23時は、完全に一日が終わったわけではありません。
今日と明日の境目に立っている時間です。
だからこそ、過去を振り返りながら、これからどうするのかを考える時間にもなります。
尾崎世界観自身も、時計の11時を見たときに、その針が迷っているように感じ、「23時」という時間を描こうと思ったとTBS NEWS DIGのインタビューで語っています。
「23、24」というタイトルにも意味がある
23時から24時へ。
数字だけを見ると、たった1時間しかありません。
しかし、この1時間の中で、人はニュースを見たり、今日一日を振り返ったり、自分の考えを整理したりできます。
そして24時になれば、新しい一日が始まる。
「23、24」というタイトルには、迷っている時間から、明日へ向かっていく時間への変化が込められているように思います。
1番:世の中の「正しさ」を探している
1番では、主人公が23時のニュースを見ながら、世の中について考えている姿が描かれます。
ここでは「正しいこと」と「間違っていること」を簡単に決められない苦しさが大きなテーマになっています。
首を傾げるのは「納得できない」から
冒頭では、23時という時間と「首を傾げる」という動作が重ねられています。
これは単純に時計の針の形を表しているだけではなく、「本当にこれでいいのだろうか」という疑問そのものを表しているように感じます。
ニュースを見ていると、「これは間違っている」と思う出来事があります。
しかし、少し詳しく知ってみると、その背景には別の事情があることもあります。
一方の人を守るための行動が、別の誰かを傷つけることもある。
尾崎世界観は公式コメントでも、「一方を守ろうとすれば、もう一方を傷つけてしまう」という難しさに触れています。
だからこそ、簡単に「こっちが正しい」と言い切れないのです。
「正しい」と「おかしい」を探し続ける
主人公は、ニュースを見ながら正しさを探しています。
しかし、「探している」という言葉がポイントです。
すでに答えを知っているわけではありません。
「正しいのはこれだ」と断言するのではなく、「何が正しいのだろう」と考え続けている。
ここに、この曲の大きな特徴があります。
現代では、SNSなどで何かについて意見を求められたとき、すぐに賛成か反対かを決めることが求められがちです。
しかし、この曲はその逆です。
すぐに答えを出さず、迷うことそのものに意味がある。
そんな考え方が曲全体に流れています。
「指を咥えて見る」ことの意味
一日の終わりにニュースを見ている主人公は、社会で起きていることを目の前にしています。
しかし、自分が直接そこに介入できるわけではありません。
知っているけれど何もできない
ニュースを見て悲しくなったり、腹が立ったりする。
それでもテレビやスマートフォンの画面を見ているだけ。
この感覚は、現代を生きる多くの人が経験するものではないでしょうか。
世界のどこかで大きな出来事が起きていることを知っている。
でも、自分の日常はいつも通り続いていく。
その距離感が、この曲では「ただ見ている」という感覚につながっているように思います。
「今日の残りカス」は一日の感情
一日の終わりには、その日に感じた感情が残ります。
怒り、悲しみ、後悔、違和感、言えなかったこと。
それらを全部きれいに整理してから眠れる人は、決して多くありません。
だからこそ、「今日の残りカス」という表現が印象的です。
それは今日一日の中で処理しきれなかった感情。
そして、それを完全に消すのではなく、明日へ進むために少しだけ払ってみる。
ここには、「問題を解決してから前へ進む」のではなく、問題を抱えたままでも前へ進めるという考え方があるように感じます。
2番:他人を比べていた自分に気づく
2番では、1番よりもさらに自分自身へ視線が向かいます。
ここで、この曲の意味が大きく変化していきます。
「誰が良くて誰が悪い」と比べてしまう
ニュースを見ると、つい人を比較してしまいます。
「この人が悪い」
「あの人は正しい」
そんなふうに、複雑な出来事を単純化したくなる。
しかし、人間はそんなに簡単に分けられるものではありません。
誰かの間違いを指摘している自分自身にも、同じような弱さがあるかもしれない。
誰かを責めながら、自分も似たようなことをしているかもしれない。
そのことに気づいた瞬間、他人を一方的に悪者にすることが難しくなります。
苦しさは「自分の中」にもある
2番で特に重要なのが、善悪が「自分の中」にもあるという気づきです。
これは、この曲の核心に近い部分だと思います。
社会の問題を見て、「あの人が悪い」と思うのは簡単です。
しかし、その問題を自分とは無関係なものとして切り離すことはできません。
怒り、嫉妬、偏見、弱さ、優しさ、正義感。
人間の中には、相反する感情が同時に存在しています。
だからこそ苦しい。
「23、24」は、社会を批判するだけの歌ではなく、社会を見ている自分自身まで問い直していく歌なのではないでしょうか。
「イライラする」の正体とは?

この曲では、何度も苛立ちが描かれます。
しかし、その怒りは単純な怒りではありません。
思い通りにならない世界への苛立ち
「正しい答えがほしいのに、答えがない」。
「理解したいのに、理解できない」。
「誰かを責めたいのに、自分の中にも同じものがある」。
この矛盾が積み重なることで、苛立ちが生まれます。
つまり、「イライラする」という感情の奥には、本当はちゃんと理解したいという気持ちがあるのだと思います。
どうでもいいと思っているなら、そもそも悩みません。
だから、この曲の苛立ちは無関心の反対です。
「どうでもいい」は本当にどうでもいいのか
後半では未来に対して投げやりにも聞こえる言葉が登場します。
しかし、ここにも矛盾があります。
本当に未来がどうでもいいなら、「暗い」と感じる必要すらありません。
暗い未来を意識している時点で、主人公は未来を気にしているのです。
「どうでもいい」と言いながら、どうでもよくない。
この矛盾もまた、人間らしい感情なのではないでしょうか。
「わからないをわかるまで」に込められた意味

この曲の中で、最も印象に残るのが「わからない」という感情です。
そして、その「わからない」を無理に消そうとはしていません。
答えを急がないこと
尾崎世界観はTBS NEWS DIGのインタビューで、現在は「答えを求められる時代」であり、はっきりと言い切る人が注目されやすい一方、自分は迷いながら考えて、ようやく言葉にする人に惹かれると話しています。
これは「23、24」のテーマそのものです。
わからないなら、わからないままでいい。
ただし、そこで思考を止めるのではない。
「わからない」という状態を出発点にして、考え続ける。
それが「わからないをわかるまで」という言葉につながっているように感じます。
「わからない」は悪いことではない
私たちは「わからない」と言うことを、どこか恥ずかしいことのように感じてしまいます。
しかし、わからないからこそ調べる。
わからないからこそ、人の話を聞く。
わからないからこそ、自分の考えを疑う。
そう考えると、「わからない」は思考を止める言葉ではありません。
むしろ、考え始めるための言葉です。
尾崎世界観も、ニュースの向こう側を見るためには「わからない」という気持ちが大切だと語っています。
「その角度で、その速度で、その気持ちで」の意味

終盤では、曲の空気が少しずつ変わっていきます。
自分のペースで考えていい
「その角度」「その速度」「その気持ち」という言葉から感じるのは、他人と同じになる必要はないということです。
世の中の出来事をどう見るか。
どれくらい時間をかけて考えるか。
どんな感情を抱くか。
それは人によって違います。
すぐに答えを出せる人もいれば、何日も考えてから自分の意見を見つける人もいる。
大切なのは、無理に誰かと同じ答えを出すことではなく、自分自身の感覚を持ちながら考え続けることなのではないでしょうか。
「揺れること」を肯定している
尾崎世界観はインタビューで、ニュースに触れるたびに自分自身が揺れていくことを大切にしていると話しています。
これは「23、24」の歌詞を理解するうえで重要なポイントです。
最初は首を傾げる。
怒る。
他人を比べる。
そして、自分の中にも同じものがあると気づく。
また迷う。
それでも考える。
この「揺れ」こそが、この曲の主人公の変化なのだと思います。
「あれは0じゃない 24」の意味を考察

最後に登場する「24」という数字は、タイトルともつながっています。
「0」ではなく「24」なのはなぜ?
24時は、時計の上では0時とも言えます。
つまり、23時の次にある24時は、新しい一日のスタート地点でもあります。
それなのに「0」ではなく「24」と表現する。
ここには、「今日をなかったことにしてリセットするのではない」という意味が込められているように感じます。
今日迷ったこと。
今日傷ついたこと。
今日考えたこと。
今日答えを出せなかったこと。
それらを全部抱えたまま、24時へ進んでいく。
だから「0」ではない。
今日という一日を過ごした結果としての「24」なのです。
24時は「明日へ進むための境界線」
「23、24」の主人公は、最後まで完全な答えを見つけていません。
それでも、「わからないをわかるまで」目指して進もうとしています。
これは、問題が解決したから希望が生まれたのではありません。
問題が解決していなくても、考え続けることで明日へ進める。
それが、この曲が描いている希望なのではないでしょうか。
クリープハイプ「23、24」が伝えたいこと

「23、24」は、社会の正解を教えてくれる曲ではありません。
むしろ、正解を簡単に決められない現実を歌った曲です。
ニュースを見れば、誰かに怒りを感じる。
でも、その怒りを自分の中にも見つけてしまう。
未来が暗く感じることもある。
それでも、「わからない」という気持ちを捨てずに考え続ける。
その先にあるのが「24」なのだと思います。
尾崎世界観が「news23」のためにこの曲を作った背景には、ニュースの出来事そのものだけではなく、その「向こう側」まで見ようとする姿勢があります。TBSの公式紹介でも、さまざまな出来事に触れるうちに、斜めになっていた気持ちが少しずつ真っ直ぐになっていく1時間を音楽で表現したと説明されています。
だから「23、24」は、夜にニュースを見る人だけの歌ではありません。
仕事で嫌なことがあった日。
誰かと意見がぶつかった日。
SNSを見てモヤモヤした日。
自分の考えが正しいのか分からなくなった日。
そんな一日の終わりに聴くと、特に響く曲だと思います。
「わからないなら、無理に答えを出さなくてもいい。」
でも、「わからない」をそのままにするのではなく、わかろうとする。
その小さな姿勢が、23時から24時へと自分を運んでくれる。
「23、24」は、迷うことを否定せず、揺れながらでも明日へ進んでいくための歌。
私はそんな意味が込められた楽曲なのではないかと考察しました。
「23、24」の歌詞を聴いて感じたこと

この曲を聴いて特に印象に残るのは、「答えを出すこと」よりも「考え続けること」に価値を置いているところです。
世の中では、白黒をはっきりさせることが求められる場面も多くあります。
でも、本当に大切なことほど簡単には答えが出ない。
だからこそ、「わからない」と言えることは弱さではなく、物事を深く考えるための強さなのかもしれません。
23時に首を傾げていた主人公は、24時になってもすべてを理解したわけではありません。
それでも、少しだけ前を向いている。
その変化こそが、この曲の最大の魅力だと思います。
まとめ
クリープハイプ「23、24」は、
- 一日の終わりにニュースや社会を見つめる時間
- 「何が正しいのか」を簡単に決められない苦しさ
- 他人を責めるだけではなく、自分の中にも矛盾を見つけること
- 「わからない」を恥じずに考え続ける姿勢
- 今日をなかったことにせず、24時を越えて明日へ進むこと
を描いた楽曲だと考えられます。
特に「わからないをわかるまで」という言葉は、この曲を象徴するフレーズです。
答えが分からないからこそ、考える。
迷うからこそ、人の声を聞く。
揺れるからこそ、自分の考えを見つめ直す。
そんな時間を経て、「0」ではなく「24」へ進んでいく。
「23、24」は、そんな**“答えのない夜を過ごす人”に寄り添う楽曲**なのではないでしょうか。
「23、24」の歌詞の出典元
「23、24」
アーティスト:クリープハイプ
作詞・作曲:尾崎世界観
配信リリース:2026年9月30日
TBS系「news23」エンディングテーマ
歌詞・楽曲についての公式情報は、クリープハイプ公式サイトおよびTBS「news23」の公式ページで確認できます。クリープハイプ公式ディスコグラフィーでは、2026年9月30日配信シングルとして掲載されています。
コメント