tuki.の「第三惑星」は、タイトルから宇宙をテーマにした壮大な楽曲のように感じられます。
しかし歌詞を読み解くと、本当に描かれているのは宇宙そのものではなく、この「第三惑星=地球」で生きる私たちの心の世界です。
夢を失うこと、傷つくこと、過去を振り返ること。それでも記憶を力に変えて未来へ歩いていく姿が、美しい比喩を通して表現されています。
今回は、「第三惑星」の歌詞を場面ごとに考察しながら、この楽曲に込められたメッセージを紐解いていきます。
「第三惑星」が意味するものとは?

タイトルの「第三惑星」は、太陽系で3番目の惑星である地球を指しています。
宇宙という広大な視点から始まりながらも、物語の焦点は「この星で生きる一人ひとりの心」に向けられているのが特徴です。
つまり、この曲は宇宙を描いているようでいて、実際には人間の感情や記憶、人生そのものを映し出している作品だと考えられます。
地球という舞台で生きる私たち
宇宙から見れば、地球は数ある惑星の一つに過ぎません。
しかし、その小さな星の上では、一人ひとりが夢を持ち、悩み、傷つきながら毎日を生きています。
「第三惑星」というタイトルには、「広い宇宙の中でも、私たちが生きているこの場所にはかけがえのない物語がある」という意味が込められているのではないでしょうか。
心の中にも宇宙が広がっている
歌詞には惑星や太陽、星座など宇宙を思わせる言葉が数多く登場します。
しかし、それらは天体そのものではなく、人の心を表す比喩として使われています。
外の宇宙ではなく、自分自身の内側にも無限に広がる世界がある。
その視点が、この楽曲全体を貫く重要なテーマになっています。
1番の歌詞が描く「夢を失った心」

楽曲冒頭では、どこか静かで切ない情景が描かれています。
夢を追い続けてきた人なら、誰もが共感できるような喪失感が感じられる場面です。
「埃まみれのピアノ」が象徴するもの
「埃まみれ使われないままになったピアノみたい」
この印象的な一節は、叶えられなかった夢や、諦めてしまった希望を象徴しているように思えます。
本来なら美しい音を奏でるはずのピアノ。
しかし、誰にも弾かれず放置されれば、やがて埃をかぶってしまいます。
夢も同じで、挑戦する機会を失えば少しずつ色あせてしまうものです。
さらに「夢が白と黒になった」という表現からは、かつて鮮やかだった未来への期待が、時間や現実によって色を失ってしまった様子が伝わってきます。
「五臓六腑の惑星」が示す内なる宇宙
続く「五臓六腑の惑星」「照らしてくれるような太陽」という言葉は、とても独創的な表現です。
宇宙は空の上だけに存在するものではなく、自分の身体や心の中にも広がっている。
つまり、人間一人ひとりが一つの惑星であり、その心にも光や闇が存在するというイメージでしょう。
失われた夢を見つめながらも、自分の中にはまだ光が残っていることを思い出そうとしているように感じられます。
サビが伝える「記憶は未来への道しるべ」

1番のサビでは、この楽曲の中心となるメッセージが語られます。
ここでは過去の記憶が、未来へ進むための力として描かれています。
「満点の星空」は輝く思い出
「満点の星空のよう 輝いた記憶よ今も」
星空は過去の思い出を象徴しているのでしょう。
夜空の星は遠く離れていても、今なお光を届けています。
同じように、昔の出来事や出会いも、時間が経った今でも私たちの心を照らし続けています。
記憶は過去に置き去りになるものではなく、現在にも影響を与え続ける存在なのです。
「正しく僕らを明日へ連れて行け」の意味
この「正しく」という言葉は、正解や間違いを意味しているわけではないでしょう。
むしろ、「本来進むべき方向へ」というニュアンスに近いと考えられます。
過去の経験や思い出が、自分を迷わせるのではなく、本当に進むべき未来へ導いてくれる。
だからこそ、記憶は希望として描かれているのです。
完全じゃなくても人は輝ける
「完全じゃなくたっていい」
このフレーズには、楽曲全体を象徴する優しさがあります。
人は失敗もするし、傷つくこともあります。
それでも、「痛んだり傷ついたりして 瞬く僕ら」という表現からは、不完全だからこそ人は星のように輝けるという肯定的なメッセージが読み取れます。
弱さは欠点ではなく、その人らしさの一部なのです。
2番で描かれる「再び動き出す心」

1番では夢を失った状態が描かれていましたが、2番では少しずつ変化が訪れます。
止まっていた時間が再び動き始めるような印象を受けます。
「88」が意味するもの
「音を立てて蓋が開いて また出会った」
この場面では、再びピアノが鳴り始める情景が浮かびます。
そして「88」という数字は、ピアノの88鍵盤を連想させます。
1番では埃をかぶっていたピアノが、ここでようやく再び音を奏で始める。
それは失われた夢や感情が、もう一度心の中で動き出した瞬間とも受け取れます。
音楽は、この曲の中で「生きる力」の象徴なのかもしれません。
「君にとっての惑星」が示す存在価値
「君にとっての惑星」
この表現には、一人ひとりがかけがえのない存在であるという意味が込められているようです。
誰もが自分だけの重力を持ち、自分だけの世界を持っています。
だから他人と比べる必要はありません。
喜怒哀楽すべてを抱えて生きていい
「喜怒哀楽を纏って 君は君らしく居てよ」
ここで印象的なのは、「楽しい感情だけ」を肯定しているわけではないことです。
怒りも悲しみも、不安も含めて、その人を形づくる大切な要素。
だから無理に感情を隠さなくてもいい。
そのままの自分でいてほしいという温かなメッセージが感じられます。
ラストサビが伝える「傷は星座になる」

終盤では、「満点の星空」から「記された星座」へと表現が変化します。
この変化には、とても大きな意味があるように思えます。
星座は「点」をつないで生まれる
星座とは、一つひとつの星が意味を持つのではなく、点と点を結ぶことで形になります。
人生も同じです。
その時は意味が分からなかった出来事も、後から振り返ることで一本の線になっていく。
嬉しかった思い出だけではありません。
失敗や挫折、傷ついた経験も含めて、人生という星座が完成していくのです。
「導いて」が持つ意味
前半サビでは「連れて行け」だった言葉が、後半では「導いて」に変わります。
この変化によって、記憶は単なる思い出ではなく、自分自身の人生を照らす羅針盤のような存在へと成長しています。
過去を否定するのではなく、そのすべてを受け入れることで未来への道が見えてくる。
それがこの曲の結論なのではないでしょうか。
まとめ:tuki.「第三惑星」が伝えたいメッセージを考察

「第三惑星」は、一見すると宇宙をテーマにした幻想的な楽曲です。
しかし、その本質は非常に人間らしい感情に寄り添った作品でした。
夢を失うこともある。
思い出が色あせることもある。
傷ついて前へ進めなくなる日もある。
それでも、過去の記憶は決して無駄にはならず、やがて星座のようにつながり、自分を未来へ導いてくれる——そんな希望が、この楽曲には込められているように感じます。
また、ピアノや88鍵、星空、太陽、星座といったモチーフが一貫して使われていることで、抽象的な世界観でありながらも情景がぶれることなく、美しい物語として成立しています。
tuki.自身も「説明ができない曲」と語っているように、この作品には一つの正解があるわけではありません。
だからこそ聴く人それぞれが、自分自身の記憶や経験を重ね合わせることができます。
「第三惑星」は、意味を言葉だけで理解する曲ではなく、自分の人生そのものを映し出す鏡のような一曲なのです。
傷ついた過去も、叶わなかった夢も、すべてが未来へ続く星座になる、そんな優しく力強いメッセージが、多くの人の心を惹きつけている理由なのではないでしょうか。

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